アタシポンコツサラリーマン

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【マンガ】恋のツキ 〜「ツイてる出会い」までの距離〜

こんにちは、いさおです。

 

 

 

もともとラブコメ大好きマンなんですが、最近、恋愛モノをますます読むようになりました。

 

恋愛のきれいな、甘酸っぱい側面を描いた作品が好きです。

自分がこれまでの人生で読んだ中で一番好きなマンガは「神のみぞ知るセカイ」です。

 

しかし最近は、少しハラハラさせられる、あるいはゾワッとする、人間の本性が垣間見えるような作品も好きです(こじらせてる)

 

今回は、そんな中出会った作品、

 

 

「恋のツキ」

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を紹介したいと思います!

 

 

 

 

1. どんな作品?

「ツキ」って何のツキかと言いますと、「万馬券!今日はツイてるぜ!」の「ツキ」です。

 

恋愛でも、運はとても重要な要素の一つです。

 

多くの恋愛モノ作品って、もちろん紆余曲折はあれ、最後はいい感じにカップルが成立しますよね。まず登場人物が一定数設定され、そのうちある特定の二人(A・Bとしましょう)が、お互いをかけがえの無い人として認識しあい、最後には永遠の愛を誓い合います。

 

でも、もし最初に設定された一定数の登場人物の中に、Aはいるけれども、Bがいなかったら、Aはどうなっていたんでしょう?Aは大切な人を見つけられないまま、物語は終わりを迎えていたかもしれません。

 

そう、Aは「ツイてた」んですよ、Bが同じ物語にいるという幸運が、Aの人生を変えたのです。

 

でも、現実はそうはいきません。

 

この世に男は35億、と某ちえみさんが言っていましたが、まず、その中に自分が「大切な人」だと思える人は一体どれだけいるんでしょうか。(某ちえみさん流れ弾マジレスすみません)

加えて、私たちには「結婚適齢期」という恐ろしい社会的タイムリミットがある。そのリミットまでに、素晴らしい出会いを手に入れなければなりません。

 

そうした厳しい条件を克服できるほどの「ツキ」があったら、どんなに素晴らしいことか。

 

そんな、マンガです(伝われ)

 

 

 

 

2. あらすじ

ワコは、小さな映画館でアルバイトしている31歳の女性。

長年同じ歳のふうくんと付き合っており、結婚も視野に入っているが、本当に彼と結婚してしまっていいのか、よく分からない。

しかし、もう結婚適齢期。今後彼と別れることはないのだろう、そう自分を納得させていた。

 

そんなある日、ワコはバイト先のある男性客に「顔がいい・・・」とときめいてしまう。

しかし、彼が落としていった学生証によると、名前はイコくん、なんとピカピカの高校一年生。いやいやいや・・・と我に返るワコ。

しかし、後日イコくんが学生証を取りにきたのをきっかけに、ワコは彼と交流を深めていく。夏祭りに案内してあげたり、カラオケに行ったり・・・ 

イコくんこそ、自分にとっての運命の人、「ツイてる」出会いなのでは? ふうくんが与えてくれないトキメキに夢中になったワコは、ついにイコくんとラブホテルにまで足を伸ばしてしまう。

 

一方、そんなワコにふうくんも不審さを感じるようになり・・・?

 

 

 

3. 主な登場人物

 

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ワコ 本作の主人公。

 

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ふうくん ワコの彼氏。

ワコと同棲中だが、ワコへの態度は控えめに言っても親切なものではない。

 

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イコくん

ワコと映画館で出会った高校1年生。だんだんとワコに熱を上げていく。

 

 

 

4. 「恋のツキ」の魅力

 

(1) 「結婚は誰とするべきなのか?」という永遠のテーマ

 

結婚って、どんな人とするべきなんでしょう?

 

そう聞かれると、

愛する人」だとか、「一生大切にできる人」とか、

内面的な、心に関わる条件を挙げる人が多いでしょう。

 

 

しかし、冒頭で述べた通り、一般的に結婚には社会的なタイムリミットが設定されています。

また、仮に大切な人と一緒になれる、「ツキ」のある出会いをすぐに果たせたとしても、それだけで結婚できるわけではありません。収入の高さ・安定性、住む場所、etc.・・・ 問題は多々残されています。

 

この難解な問題をそのままキャラに落とし込んだのがこの漫画です。

 

愛は足りないけれど、現状結婚の意思があり、社会的安定も与えてくれるふうくん。

 

圧倒的な愛を与えてくれる大切な人だけれど、現実的な未来が見えてこないイコくん。

 

この二人の間で揺れ動くワコを見てると、

本当に、ワコと一緒にこの難解な対立構造に悩まされます。

 

きれいごとだけじゃ済まない、現代のオトナの結婚事情、

改めてワコと一緒に考えてみませんか?

 

 

(2)ちゃんとした答えを見出せなさそうな登場人物たち

 

というふうに難解な問題にぶち当たるワコその他登場人物たちなんですが、

この人たち、あまり妥当な答えを出せそうにありません。

 

まずワコ。

今更ですが、いくら好きになったと言っても、結婚間近の男性と高1の子供を天秤にかけるの、なかなかすごいことですよね。 

それだけイコくんを好きになった、というのもあるんでしょうが、とにかく動き・判断が本能的です。

自分の将来について結構頭は使うんですが、ふたを開けてみれば結局イコくんとラブホにいるんですよ。お前さっきの熟慮はどこ行ったんだ・・・

ちゃんとした答えが出せるのか、甚だ心配です・・・

 

次にふうくん。

クセものです。普段のワコへの態度は傍若無人そのもの。買い物も料理も、ひたすら一方的にやらせて、その上わがまま放題。

かと思ったら、突然ワコの好きな甘口カレーを作ってあげたり。

 

しっかりワコのことは好きなんですが、同棲に慣れすぎたのか、本性が出てるのか、

ワコへのリスペクトが感じられません。

しかし中途半端に良識もある。

一番食えないキャラです。

 

最後にイコくん。

一般的な16歳の少年です。どこまでも真っ直ぐです。

ワコの社会的状況とかお構いなく、ただただワコを求めます。

 

 

イカれたメンバー紹介するぜ!!以上だ!!

みたいなノリになりましたが、ほんとにこんな感じです。

(1)のように難解で重要なテーマを提示しておきながら、ちゃんと答えが出せそうなキャラが見当たらなくて、非常にハラハラします。

 

 

でも、多分私たちも日々こんな有様なんですよね。

いっぱしにモノを考えられていると自分では思っても、他人からみたら間違いだらけ。

立派なことを口走っていても、行動が一貫していない、伴っていない。

 私達のそんな正体を、この漫画は以上のキャラを通して見事に再現しているのではないでしょうか。

 

答えのない問題を、答えを出せない者たちがうんうんと悩む。

そんな自分たちの本当の姿を、垣間見ることができる作品です。

 

 

 

(3)超冷静な作者の恋愛観

 「恋のツキ」という夢を追う女性を描く新田先生からは、超冷静な恋愛観が見え隠れします。

 

例えばこのシーン。

 

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恋愛は持ちつ持たれつなんだよ、ということが船を例えに語られるシーン。

恋の「ツキ」の素晴らしさと問題を延々と語るマンガでありながら、うるせえ運命の人なんて待ってられるか!!!結局は妥協なんだよ!!!と超現実的な恋愛観が提示されます。

 

こういう現実的な意見も当然ながらあるよ、と提示した上で、

それでも「恋のツキ」という夢を追う女性を、作者は描いています。

 

だからこそ、本作は、夢を追う女性を描いているにも関わらず、とてもリアルで、残酷なオーラを纏っている、と私は考えます。

 

 

 

4. まとめ

 

以上、「恋のツキ」の紹介でした!

 

派手な展開はないかもしれませんが、誰しもが必ず抱いたことのある悩みを、

克明に再現しているマンガだと思います。

 

甘酸っぱい恋のお話を読んで、至福のため息をつくのも大きな楽しみの一つです。

しかし、たまには「恋のツキ」のような作品を読んで、あまりのリアルさに心をざわつかせてみるのもいかがでしょうか???

 

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!!

 

 

(おわり)