アタシポンコツサラリーマン

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輸出管理ってなに?ホワイト国とは?日本政府が韓国に対して行ったことのポイント

こんにちは、いさおです。

 

いつもこのブログはマンガの感想やら何やらを書いてるんですが、今回はちょっと(?)違う記事を書きます。

 

最近、日韓関係が非常に怪しいですね。元々慰安婦問題だとか徴用工問題だとか、きなくさかったところですが、以下の「ホワイト国外し」(2019年8月2日閣議決定)で関係悪化が決定的になった印象です。

 

this.kiji.is

 

 

ここで問いたいでのすが、そもそも「輸出規制」ってなんなんでしょう?「ホワイト国」ってなんなんでしょう?

ここを正確に認識しないまま、漠然と「日本は韓国に対する輸出を強化したんだ!」と考えていると、ここ最近の一連の日韓の動きを正確に評価することはできません。

 

そこで今回は、結局日本政府は今回韓国に対して何をしたのか後韓国への輸出は実際のところどれほど難しくなるのか、説明していきたいと思います。

仕事で関わってる分野ですので、内容は信頼してもらえればと!

 

 

 

1.輸出管理ってなに?

今回日本政府が改正した法律は、「輸出管理」、正しくは「安全保障輸出管理」という分野の法律です。

ですので、まずはこの「安全保障輸出管理」ってなに?という話をします。

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安全保障輸出管理とは、「テロリストや戦争を起こしそうな国に、武器や武器の部品・原料になりそうなものが渡らないよう、輸出先を管理すること」を言います。

確かに、武器がなかったら、悪い人も悪いことしようがないですよね。世界の平和・全然保障のための強力な一手です。

 

これを実践するために、世界の各国(特に先進国)は危ないものを危ない人に輸出しないようにしようね」という協定を結んでいます。具体的には以下のとおりです。

(WAは安倍首相がインタビューで言及してましたね)

 

NSG原子力供給国グループ)・・・核兵器に使えそうなものが対象

MTCR(ミサイル技術管理レジーム・・・ミサイルに使えそうなものが対象

AG(オーストラリア・グループ)・・・化学・生物兵器に使えそうなものが対象

WA(ワッセナー・アレンジメント)・・・その他武器に使えそうなものが対象

 

しかし、これらはあくまで紳士協定で、強制力がありません。そこで本協定参加国は、この紳士協定を自国民がちゃんと守るように、これらの協定内容を各国で法律にしています。そして、違反した国民にはしっかり罰則が飛ぶようになっています。

日本では、外国為替及び外国貿易法という法律の第48条第1項で、「危ない貨物を危ない人に輸出する時は、事前に経済産業大臣の許可を取ってね」と規定しているのです。

 

 

 

2.「危なそうな人に危なそうなものを輸出する」って具体的にどんな輸出?

日本は、国民が適切に経産省の許可を取って輸出を行うよう、許可が必要な「危ない輸出」がどんなものなのか、輸出規制の内容をしっかり詳しく定めています。

 

輸出規制は、以下2種類の規制からなります。

 

リスト規制

モノの規制。

武器に使えそうなスペックの高いものの輸出を規制

キャッチオール規制

輸出相手・用途の規制。

普段から軍事産業に関わっている人が相手だったり、そうでなくとも今回たまたま武器用途の輸出だった場合、輸出を規制。

 

この2種類の規制のうち、どっちか一方だけにでも当たったらアウトで、経産大臣の輸出許可が必要になります。

例えば、リスト規制では、ある特定の材質のポンプが規制されており(化学兵器の精製に使えるため)、そんなポンプを輸出する場合は、輸出先が誰であろうと、輸出許可が必要になります。

また、例えば輸出先が軍隊だったら、キャッチオール規制に該当し、たとえつまらないネジ1本を輸出するだけでも、輸出許可が必要になります。

 

 

3.「ホワイト国」向け輸出に対する優遇

ただし、「ホワイト国」と言われる(もう経産省はこの言い方をやめるそうですが)国に輸出する場合は、輸出規制が緩くなります

「ホワイト国」とは、上記の各国間輸出協定に参加していて、自国の輸出管理がしっかりしている国のことです。こういう国は、「相手さんもしっかり輸出規制やってるし、少々日本のチェックが甘くても、変な人には渡らんやろう」と信頼できるので、こういう国に輸出する場合は、規制が緩くなるのです。

 

具体的な規制緩和内容は以下の2つです。

 

① キャッチオール規制の免除

② 幅広いリスト規制品について包括許可の取得が可能。

 

①は、輸出相手・用途の規制がなくなることを意味します。

②は少し難しいのですが、「包括許可」という制度が日本にはあります。

これは、何回も同じリスト規制品を輸出する場合、いちいち許可を取るのが手間なので、「いつからいつまでの期間だったら、もうこの品物は許可取らず何回でも出してもええよ」と一括で許可してしまう制度です。ホワイト国向け輸出でなくてもこの制度は使えるのですが、ホワイト国向けだと、さらに多くの種類のリスト規制品について、この「包括許可」を取得できます。

 

4.日本政府が韓国に対して行ったこととその影響

さて、この上で、日本政府が韓国に対して行ったことを見直してみましょう。

 

日本政府は、韓国を「ホワイト国」から除外しました。これは、政府曰く、「韓国から北朝鮮という危険国家にものが流れている」というのが理由だそうです。つまり、上記の「相手さんもしっかり輸出規制やってるやろ」という信頼が崩れた、というわけですね。(徴用工問題の報復、という見方もありますが、その正誤は正直わかりません)

 

上記の説明に基づいて考えると、このホワイト国除外により、韓国向け輸出規制内容は次のように変更されます。

 

① キャッチオール規制復活

② 包括許可の取得可能範囲が狭くなる

 

ただ、これ実質あんまり規制範囲は強化されてないんですよ。

①については、韓国はそんな危ない事業をやってる会社が多い国では決してありませんので、そもそもキャッチオール規制に引っかかる韓国向け輸出はほとんどありません。キャッチオール規制があってもなくても、正直経産省の許可が必要な韓国向け輸出の数に変わりはほとんどありません。

また、②については、包括許可が取れなくなるというだけで、輸出のたびに個別に許可を取ることは全然OKです。許可申請の手間が大きくなりますが、輸出自体は可能です。

 

よって、今回のホワイト国除外によって、「韓国向け輸出がしにくくなった」と理解するのは少し誤解です。

「今までめっちゃ輸出しやすかったのが、普通レベルになった」ぐらいの理解が適切なのです。

 

 

5.まとめ

以上、輸出管理の意義、規制の枠組みを解説した上で、今回の韓国向け輸出規制の改正の内容を説明しました。

「規制強化」というと少し語弊のある改正である、ということは上記でご理解いただけたかと思いますが、政治関係への影響の大きさについては、予断を許さないところではあります。

よって、まとめますと、

 

☆ 韓国のホワイト国除外は、「今までめっちゃ輸出しやすかったのが、普通レベルになった」だけ。

☆ 政治関係に対する影響は確かに深刻。ただし、規制内容の理解と、政治的影響の評価はあくまで分離して考えられるべき。

 

なんとか、日韓が仲良く手をとりあう未来はないものか、というのが個人的な思いです。あくまで個人的な。

 

以上、ご参考になりましたら幸いです。

お読みいただきありがとうございました!

 

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(終わり)